免許のいらない無線とは...無線部

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無線部です。今回はSWR先輩がアマチュア無線の解説の最後に紹介された、免許のいらない無線、つまりライセンスフリー無線について、僕EKAことアイチTA291が紹介していきます。


ライセンスフリー無線とはそもそも?
前回の紹介にもあったようにライセンスフリー無線は免許のいらない無線です。
本来の目的は簡易な業務などであり、お仕事やスポーツ等のレジャーで使うことが想定されています。
ライセンスフリー無線はこのレジャー用途と言うことで使っています。
下記の表のような種類があります。

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※特定小電力無線は出力が小さく免許のいらない無線全般のことを言いますが、ここでは一般的に利用できる421・422・440MHz帯の特定小電力トランシーバーです。また、デジタル簡易無線も各種ありますがここで取り上げているのは登録局(3R、3S)です。

ざっと説明するとこのような感じになります。

最初の挨拶にあった「アイチTA291」これがライセンスフリー無線におけるコールサインです。
詳しくは、歴史の解説のところで説明します


アマチュア無線と何が違うの?
ライセンスフリー無線は基本的にはアマチュア無線のように、不特定多数と交信することが多いです。

じゃあなぜライセンスフリー無線なの?
これよく言われますが正直はっきりとした理由はわからないです(笑)
一般的には、アマチュア無線と違い、無線機の性能(出力やアンテナ)が共通のため、みんな同じ土俵で楽しめる点です。
アマチュア無線では従事者免許の級によって、出せる電波の最大出力が変わるため、聞こえてもこちらの声が聞こえないこともよくあります。
一方、ライセンスフリー無線では、アンテナや出力の規制があるため、アマチュア無線と比べて繋がりやすく、資格の級といった優劣も起きません。また、デジタル簡易無線(登録局)を除いて買ったらすぐに使える上に、仕事やハイキング等あらゆることに使えます。デジタル簡易無線(登録局)は総合通信局に登録する必要があります


ライセンスフリー無線の歴史
ライセンスフリー無線は、前回の記事にも書かれているように意外と歴史があります。
ライセンスフリー無線で一番歴史の長いのは市民ラジオです。
市民ラジオは、1960年代に制度化された無線です。最初は今と違い、アンテナが交換可能だったり、免許が必要でした。
1980年代に入ると、免許のいらない無線局となり、今に至ります。

1960~1980年代の免許が必要な間は、各無線機に電監コールと呼ばれるコールサインが割り当てられ、これが
 電波監理局(今の総合通信局)の地名 + 英字 + 数字
というコールサインが割り当てられており、現在のライセンスフリー無線ではコールサインの使用は不要ですが、この電監コールに則って各自で考えコールサインを作り名乗っています。

市民ラジオをCB無線とも呼びますが、不法市民ラジオや不法CBと言うのを聞いたことがあると思いますが、ライセンスフリー無線の市民ラジオとは違い、これらは、日本の規格とは異なるアメリカ等の市民ラジオを日本国内で不法に使用しているものを指します。

時代が流れるにつれ、チャンネル数の需要や技術の発展につれ特定小電力無線やデジタル簡易無線(登録局)が制度化されてきました。
特定小電力無線は2000年頃にデジタル簡易無線は2008年、デジタル小電力コミュニティ無線が2018年に制度化されました。
デジタル小電力コミュニティ無線は元々、イノシシ等の野生動物を監視するためにあった周波数が、人間も対象となり使えるようになりました。
そのため、GPS送出が義務となっており、子供や高齢者の防犯目的で使用される尾を想定されていましたが、あまりその分野では普及してないようです(笑)

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◀市民ラジオ :画像では見切れていますが、2m近いロッドアンテナがついています。短いヘリカルアンテナのモデルもあります。












ライセンスフリー無線の楽しみ方
ライセンスフリー無線の楽しみ方は種類によって変わってきます。
まずは、市民ラジオです。
市民ラジオは27MHzという低い周波数のため、普通に交信するのは少し難しいです。
しかし、夏になると地球を取り巻く大気のスポラディックE層というものに反射して1000kmをも超える距離で通信できることがあります。その為、夏場は市民ラジオの運用が活発になります。ノイズの中から遠く離れた人の声が聞こえたときは感動ものです。
続いて、特定小電力無線。上の表にあるように、特定小電力無線はレピーターと言う中継局が使えるため、有志で設置されているレピーターを使うことで遠くと交信できます。直接波で交信する場合は、山に登ることで遠くと交信できます。また、市民ラジオがオフシーズンになる冬場は、ロールコールイベント等が毎月開催されるのでイベント日を狙うのもいいかもしれません。
また、デジタル小電力コミュニティ無線も主に山に登って運用します。GPS送出機能を利用して会話に至らなくても、GPSと自分の無線機のIDを相手に受信してもらうというスタイルもあります。
デジタル簡易無線(登録局)は5Wという大きな出力を生かして、家や移動中の車から通信したり、ほかの3つのように山の上から運用することが多いです。また、アンテナの交換がある程度規制が緩く、指向性のある八木アンテナも使えます。運用人口も多く出力も大きいため割と簡単に交信できます。
どれで運用するときでも同じですが、趣味・レジャー専用ではないため、お仕事等で使っている人もいます。そのため、運用前にチャンネルが本当に空いているのか確認をしたり、他の人が使っているとわかったらチャンネルを変える等の配慮が必要です。

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▲特定小電力無線(トランシーバー):これはロングアンテナモデルで、ミドルアンテナや回転式アンテナもあります。


一世を風靡したものの、もう消えてしまったライセンスフリー無線
ここまで、「今」遊べるライセンスフリー無線について紹介してきましたが、実はもう消えてしまったライセンスフリー無線もあります。
ズバリ「パーソナル無線」です。
パーソナル無線は1980年代に制度化され、今のデジタル簡易無線(登録局)のように、総合通信局に申請を出し、5Wの出力でした。周波数は900MHz帯であり、今は携帯電話でプラチナバンドと呼ばれています。
最盛期には100万局近くの登録がありましたが、違法に使う人の発生や携帯電話の普及ととも利用者が減少し、携帯電話のために900MHz帯が割り当てられることになり廃止されました。

今でも、オークション・フリマアプリで出回っていますが、パーソナル無線は現在登録が残っている人を除き、使うことができません。
残念ながら僕は触ったことがありません。


ここまで長く書いてきましたが、なかなか説明が下手なもので...ヨミニククテスイマセン
とりあえず、気になった人はYouTube等で「ライセンスフリー無線」「フリラ」等で検索してみてください。
ライセンスフリー無線のイベントや活動の動画等が見られると思います。

最後に、注意事項です。
ここで紹介した無線のうち、市民ラジオや特定小電力無線はネットでよく流通しています。しかしながら、その中には違法な商品も混じっています。もし特定小電力無線(特定小電力トランシーバー)を買う場合、20または47チャンネルではないものや10km交信可能、5W出力などと書いてある物は違法です。必ず、技術適合マーク(通称:技適マーク)があることを確認してください。また、市民ラジオはオークションサイト等でよく見かけますが、本体を開封すると法律上違法な物となり、送信することが禁止されます。アンテナ交換済みや調整・修理済みと書かれた物は違法な物の可能性があるります。また、8ch以上あるものやアンテナが取り外せる物も違法な物となるので買わないようにしてください。

以上、アイチTA291でした。