9月15日(火) 「珍車」名鉄1380系、ついに力尽きる。鉄道研究会

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みなさまこんにちは。鉄道研究会ブログ担当の坂本でございます。

オリエンテーションを終え、新たな気持ちでみなさま秋学期を迎えられたことと存じます。

本ブログでは秋学期も充実した、なおかつ分かりやすい記事をお届けしてまいる所存でございます。

秋学期も鉄道研究会をどうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、秋学期最初の記事は、少し悲しい記事でございます。

今月2日(水)に運用を離脱した名鉄随一の珍車1380系1384Fが、昨日14日(月)午前、名電築港(貨物駅、名古屋市港区)へと廃車回送されました。

私は回送列車の走行シーンなどはオリエンテーションのため見られませんでしたが、その後同駅構内に置かれた1380系の姿を、昨日夕方に取材してまいりました。

今回は珍車1380系、その最期の姿をご覧いただきます。

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↑解体場への搬出を待つ1380系 名電築港

オリエンテーションが終わった後、私は電車で常滑線大江へ。

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↑5000系5004Fの築港線普通東名古屋港ゆきに乗り換え、東名古屋港へと向かいます。

車内には同業者らしき残念な感じの人たちがちらほら。

みな情報を聞きつけて来たようです。

17:26、電車は扉を閉め、出発。

大江の留置線には、1380系を名電築港まで牽引したEL120形、EL121が停車していました。

1駅先の終点、東名古屋港へ向け、電車は50~60km/hの速度で走っていきますが、しばらくして急に減速します。

この減速は、この先の名電築港駅構内にある名古屋臨海鉄道(貨物専業)の線路と直角に交差する箇所(平面交差)を通るためのものです。

減速を合図に、みな一斉にカメラを車窓右側に向けます。

そして...

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↑いた!!

電車は間もなく終点の東名古屋港へ。

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↑不自然に太い屋根を支える柱は、かつてこの上にHSST(リニモの原形)の試運転線があったことを静かに物語っています。

さて、東名古屋港駅から歩くこと約2分。

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↑廃車置き場に置かれた1380系4両が見えてきました。

ここで、1380系をよく知らない方のために、1380系について解説いたします。

1380系はもともと、いわゆる「パノラマスーパー」グループのうち、1992年に廃車となった7500系「パノラマカー」から足回りを流用し、1992~1993年にかけて製造された、1030・1230系の一員でした。

「パノラマスーパー」時代は1134Fという編成で、特別車2両を含んだ6両固定編成でした。

同編成は日夜名古屋本線の特急その他で活躍し、他の「パノラマスーパー」と同様、名鉄の顔でした。

しかし2002年9月26日の8:32頃、1134Fの運命は大きく変わってしまいます。

岐阜発豊橋ゆき特急として1800系1806Fと8連を組んで名古屋本線奥田~大里間を走行中、踏切を無謀横断しようとして脱輪し、さらに線路内へと進入していた、無免許のスリランカ人男性が運転する盗難車と激突する事故を起こしたのです。

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↑当時の事故現場(ウェブサイト「こひつじの家」さま【URL:http://www.isok.jp/rail/spectacl/】より、転載可能な写真を転載)

電車は前2両が脱線。

特に先頭のク1134は、倒れた架線柱が直撃したり、コンクリートの暗渠に激突したりしたためボコボコに。

当時私は小学2年生でしたが、この衝撃的な先頭車の姿を新聞で見た時のことは今でも覚えています。

結局盗難車の運転者は死亡し、乗客・乗務員が合わせて23人負傷しました。

当該編成のうち大破した先頭の特別車2両(ク1134、モ1184)は廃車となり、残りの一般車も、被害こそ少なかったものの大方廃車になるものと考えられていました。

しかしそこはさすが名鉄。転んでもタダでは起きません。

上写真3枚目の一番手前の車両、モ1384を、何と無理やり先頭車化改造したのです。

そしてモ1384を含む残った一般車4両をスカーレット1色に塗り替えたり、正面のパノラマスーパーのロゴを潰したりして2003年に爆誕したのが1380系、1384Fなのです。

1380系は、僅か4両編成×1編成のみが、主に名古屋本線、犬山線、各務原線などの普通準急急行などとして走ってきました。

見かけると結構ラッキーな車両でしたよね。

しかし何の因果か、2008年には栄生駅構内で脱線事故を起こしてダイヤを大幅に乱すなど、何かと不運が付きまとう車両でもありました。

そんな同系ですが、3300系3307Fが導入されたことにより今月2日(水)を最後に定期運用から離脱。

昨日午前EL121に牽引されて名電築港まで回送された上、クレーンで台車から外されて廃車置場へと吊り降ろされました。

僚友の1030・1230系も廃車となっていく中、当然の流れと言えるでしょう。

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↑地面に置かれた電車というのは、何だか不思議な感じです。

3400系「いもむし」、3730系、7000系「パノラマカー」といったかつての名鉄の名優たちや、問題の1134Fのうち、上写真の踏切事故で廃車となったク1134とモ1184も、こちらで最期を迎えております。

ガラス、扉、パンタグラフ、クーラーといった多くの機器はまだ残存していましたが、

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↑既に台車や一部の機器類は外され、床下には「かませ」が入れられています。

棒連結器もバーナーでばっさり切られています。

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↑床下機器はよく見ると全車ほぼ全て降ろされています。

また、全車座席のモケットも外されていたほか、先頭車の運転機器も撤収されていたようです。

一部の車両では御覧のように方向幕や車番も撤去されていました。

広告のドアラの笑顔が何とも言えない気分にしてくれます。

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↑機器流用車の後輩格、5000系とともに。

5000系も1000系の機器を流用していることからそう長く活躍できるとは思えず、何だか両者がだぶって見えてしまいます。

今後数日以内に東海市内の解体業者へとさらに移送され、そちらで処分されるものとみられます。

あまりに不幸な形で誕生し、以後名鉄随一の珍車として注目を集めた1380系。

その非常に特異な姿は、多くの名鉄ファンの心をつかんで離しませんでした。

1230系時代から数えて22年間にわたる活躍を、心より称えたいと思います。

最後に1380系の現役時代の写真を載せておきます。

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↑単独で高架区間を驀進

準急中部国際空港ゆき 大同町~柴田

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↑中部空港のイベントに合わせ、珍しく後ろに1800系(1807F)を増結して6連となった時の姿

準急中部国際空港ゆき 金山 

 

本日もご覧いただき誠にありがとうございました。