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【文芸日誌】 合宿30分小説 二回目

投稿者:

30分小説2回目の結果です
今回のテーマは「自然」
1位はなんと同数票で2作品
 
スペシャルゲストの甘瀬先輩と
初受賞の立川ちゃんです

 
2作続けてどうぞ

 
『ナチュラル』 作:甘瀬幸昌(先々代部長・OB)
 
 
この世に生まれ落ちたその時から、人は誰もが例外なく囚われているとぼくは思う。
生まれ落ちたその時には自由だったかもしれない。
けれど成長するにつれて子どもは親や周囲から教育という名の毒を受け、
羽を一枚一枚もがれていくように空を飛ぶ力を失っていくのだ。
飛ぶことのできない鳥が外の世界で生き抜くことなんて出来るはずもない。
故に、翼をもがれた鳥が生きる場所はただ一つ、頑丈に作られた息苦しい檻の中にしかない。
ぼくにはそれが耐えられない。
倫理、道徳、価値観。
望んでもいないのに与えられたものが、この身体を縛る苦痛に耐えられない。
 
 
だからぼくは、それに抗うことにした。
翼がもがれていようと、頑丈な檻に囚われていようと関係ない。
たとえ飛ぶことが出来ない身体であるとしても、
飛ぼうと努力することは出来る。
翼を失い、飛ぶことさえ諦めたそれを、鳥と呼べるはずもないのだから。
鳥が鳥であるために。
人が人であるために。
ぼくがぼくであるために。
だからぼくは、扉を開いて、走り始める。
 
 
後日。生まれたままの姿で街中を疾走していたぼくは警察に捕まり、牢の中に入れられていた。
目の前には鈍く黒光りする頑丈な檻。
鍵をこじ開けて飛び立つことは……悔しいけど、出来そうにない。
檻に囚われ、身動きも出来ないぼく達を監視するように、看守が肩をいからせながら歩いていく。
それはまるで、人の社会の縮図のようだ。
 
 
……でも。
いつか、ぼくは、きっと飛んでみせる。
身を縛るものが何もない、あの自由な空の下を。
 
 
 
 
『そよ風』 作:立川 透子(1年生)
 
 
妹は何も話さず、ただ地面を見つめていた。
数日間夕立も降らず、やけに埃っぽい地面を。
17歳と12歳になる僕ら兄妹はしょうもないことでケンカをした。
祖母の家を訪ね、縁側でくつろいでいた。空には青々とした入道雲がぽっかりと浮かび、
時たま蝉も飛んでいく。
そんな夏のありふれた午後に僕たちはケンカをしたのだ。
 
午後三時、妹と二人縁側に座り、足を水をはった桶に突っ込んで涼を求めていたときに祖母は
水瓜を切って出してくれた。
吊るされた風鈴はちりんと鳴り、水をはった桶に水瓜。
これ以上夏らしいことはないだろうと嬉々としながら水瓜に手をつけたとき、妹は言った。
 
「お兄ちゃんの水瓜の方が大きくなぁい?」
 
これが全ての始まりで、それからは兄の特権をとうとうと述べ、
妹が昔の出来事を引っ張り出し、それに僕が怒り……
と、年甲斐もなく言い争いをしてしまったのだった。
それから一時間くらいの間、僕は空を見て、妹は地面を見つめていた。
風はなく、風鈴はちりんとも鳴らない。
桶の水もぬるくなってしまい、涼を求めるところではなくなってしまった。
 
「涼子ー」
 
そう妹を呼べば肩がびくりと震えるのがわかった。
 
「お兄ちゃんが悪かったよ」
「……許したげる」
 
妹は言い切る前に泣き出してしまったのでよくわからなかったが、
雰囲気からすると許してもらえたのであろう。
妹と仲直りをした途端、そよ風が吹いて風鈴が再びちりんと鳴った。
よく一時間も風を吹かせなかったな、神様。
と、恨めしく思ったが、風の神なんているのかどうかもわからないので、
ただそよ風の運ぶ涼しさと雨のにおいを楽しんだ。
もう妹は泣いてない。

コメント ( 5 )

捌限(P.N)2011年09月13日

両方とも綺麗な作品ですねー……
二回目、参加したかったなぁ!

Bob2011年09月15日

どうもはじめまして。
そよ風、夏っぽくて可愛くて好きです。
風景の描写が想像出来て素敵。

appliance repair Glendale2011年09月25日

私は難しいことはしかし、あなたのウェブログが異なっている分に私を握るかもしれないウェブログを見つけることです。ブラボー。

deca durabolin2011年10月18日

こんにちは、それは本当に面白い、ありがとう

DSLR-A8502011年11月13日

私のブログのテストを保持する必要があります。私はそれはまだ先として機能していない。テーマをありがとう。多分これは良く見て地雷を取得します。

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