3月18日(水) 京王れーるランドの保存車② ~京王シリーズVol.3~鉄道研究会

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皆さまこんにちは。鉄道研究会ブログ担当の坂本でございます。

京王れーるランドの保存車両紹介を続けて行っております。

今回は、戦後の混乱が落ち着いた時期に登場した名車、「グリーン車」こと2010系デハ2015をご紹介いたします。

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★デハ2015号車

2010系の基本形式となった2000系は1957(昭和32)年、前年度まで増備されていた吊り掛け駆動車2700系の後継車両として、井の頭線用旧1000系とともに、京王では初めてのカルダン駆動を用いた高性能車としてデビューいたしました。

基本的に2700系の車体構造を引き継いでおり、前面は湘南顔、全金属製車体を採用、車体外板は当時の京王電車の主流の塗色であったライトグリーン一色に塗られています。

実際に1963(昭和38)年に実施されることになる架線電圧の600Vから1500Vへの昇圧を見据え、主制御機や電動発電機などは当初より複電圧仕様のものが搭載されています。

また、全電動車方式(編成中の全車がモーター付き車両であることを前提とした方式)を採用していることも大きな特徴です。

当初はモーター車(デハ)の固定2連で登場し、それを組み合わせて4両編成などとしていましたが、のちに付随車(サハ)2両(2500系)を中間に組み込み4連固定としています。しかしながら全電動車方式を前提としているにもかかわらずサハを組み込んだことからモーターに負担がかかり、運用上の制約も多くなりました。

そこでその全電動車方式を捨てて、編成内がM(デハ):T(サハ)の比率を1:1とすることを前提として1959(昭和34)年に登場した車両が2010系です

2010系は扱いやすさと経済性の面で格段に優れており、後に登場する名車5000系も、基本的な性能は2010系のそれを受け継いでいます。

登場してからしばらくは14m級小型車や木造車、そして新造の種々雑多な車両(2500系)と組んで運用されましたが、木造車のグループなどが置き換えられると、徐々に粒の揃ったスマートな編成を組むようになりました。

1963(昭和38)年、特急電車の運転が開始されると、新鋭5000系に合わせて本形式も一部がアイボリーの車体に臙脂色の帯を巻いたスタイルに変更されて特急運用に用いられていました(ちなみに先回ご紹介した2400系も一時期一部車両がこの色を纏っていました)。

同じ頃から2010系を始めとするライトグリーン一色の車両は、5000系の塗装と比較して、「グリーン車」と通称されるようになりました。臙脂色

1969(昭和44)年、5000系の増備が終了すると再びライトグリーン一色塗装に戻されています。

1970(昭和45)年からは一部先頭車の運転室を撤去の上6連固定編成化改造を受けておりますが、同時にその頃から各停運用や支線運用が中心の地味な存在となっていきました。

1977(昭和52)年から2700系の廃車が開始されるとその傾向はより強いものとなり、1981(昭和56)年の同形式全廃後は廃車も開始されています。非冷房であったこともその生涯を縮めたといわれます。

そして1984(昭和59)年11月8日、2010系のさよなら運転が行われ、(2000系は実施されなかった)その後全車廃車されました。

京王線の近代化と輸送改善に大きく貢献し、その後の京王線車両の基本を作り上げた2000系2010系グループはここに終焉を迎えたのです。

その後2010系は愛媛県松山市付近の郊外私鉄である伊予鉄道に12両が譲渡され、一部は先頭車化改造も受けて800系となりました。同社入線後には冷房化改造が実施されたほか、その後しばらくして同社に5000系も多くの車両が譲渡され、松山の地でも京王車同士での顔合わせがみられました。

その後同社には2009(平成21)年から井の頭線で活躍していた3000系が譲渡されて800系は置き換えられることとなり、2010(平成22)年7月にさよなら運転を実施したのち、引退いたしました。

しかしながらそのうち4両は解体されることなく銚子電鉄(千葉県銚子市)へと譲渡されて2000形として現在も現役です。うち2両は京王時代と同じライトグリーン色に塗り替えられるなどしており、多くのファンの注目を集める存在となっています。

ちなみに同形式は銚子電鉄初の冷房車としても歓迎されているようです。

現在京王れーるランドに保存されているデハ2015は、京王での廃車後相模原線若葉台にある若葉台工場にて保存されたのち京王平山研修センター/京王資料館(東京都日野市)にて保存されていたものを、京王れーるランドリニューアルにあたって同所に保存されたものです。

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★運転席

コンパクトに纏められながらも、広い運転空間と前面展望を確保した、当時流行した湘南型電車の代表的な例と言えます。

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★客室

現代の電車にも通ずる近代化された車内。当時の京王の先進性が窺えます。

 

如何でしたでしょうか?デハ2015のご紹介は以上でございます。

次回は京王のみならず、当時の日本の電車を代表する存在であった名車、5000系クハ5723をご紹介いたします。

本日もご覧頂きまして、誠にありがとうございました。