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世界の人口は76億3千万人、そのうち女性比率は49.6%(国連統計、2018)、日本の総人口は1億2千6百万人で女性比率は51.3%(総務省統計、2019)。世界でも日本でも男女の数はほぼ半々といえます。日本の全就業者6千7百万人のうちで女性比率は44.5%(総務省発表、2019.7)。では、大学に目を向けると、日本の大学生人口は291万人で女性は44%(学部生は260万人、女性の割合は45%)となっており、時間の流れで見ると女性の割合が14%(1960年)、22%(1980年)、36%(2000年)となり、男女比は1:1になる方向に向かっています。
中部大学では学生数1万1千人のうち女性比率は27%、そして800人を超える教職員では女性比率は37%となっています。女子学生比率は9%(1990年)、22%(2010年)、そして女性教職員比率が21%(1991年)、31%(2010年)と比べると、確かに着実にキャンパスにおける女性比率は上に向いているのがわかります。徐々にキャンパスには女子が増えてきていますが、まだ1:1からは遠い感じです。
昨年訪れたフランス・ボルドーの大学で出会った女性副学長が、クオータ制のことを説明してくれました。フランスでは女性の社会進出を後押しして、クオータ制と呼ばれる割り当て制度が存在しています。男女性差別による弊害解消のために、男女比に法的な縛りを導入したものです。私がいたアメリカのTTU(テキサステック大学)では、現在学生数3万7千人に対して女性比率は47%となっています。欧米の大規模大学では男女、人種も含めて多様性を感じることが多く、女性比率が50%を超える大学も多いようです。
中部大学には、「女性教職員のためのランチの会」があって、時々招かれていっしょに大きなテーブルを囲んで、昼食を取りながらおしゃべりを楽しみます。今回は、男性は私1人に対して、女性が16人。男女比率はここでは1:16です。16人の関わっている部署や学部も異なり、年齢も20代から60代まで。テーブル越しの活発なおしゃべりの中から、学生も含めた中部大学ファミリーが個々に関わる授業や、クラブ活動におけるさまざまな側面や、人間関係が見えてきました。そして中部大学における女性のエネルギーを感じた歓談の場でした。
清風万里の言葉で表されるように、キャンパスにいる一人一人がこの春日井の丘ですがすがしい気持ちで、学びに勤しみたいものです。個別の分野での偏りはあっても、全体として見れば、社会の男女比に近づくように、キャンパス内も男女比1:1を目指したいと思います。そうすることが総合大学(UNIVERSITY)の中での多様性(DIVERSITY)を実現することにも繋がることになると考えるからです。