学長ブログ

64. アンヌス・ミラビリス(ニュートンのリンゴの木)

2020年はアンヌス ・ミラビリス(annus mirabilis)か、アンヌス・ホリビリス(annus horribilis)か、どちらとして記憶されることになるのでしょうか。それぞれ驚異の年(miraculous year)、恐怖の年(horrible year)を意味するラテン語由来の英語表現です。新型コロナウイルスの感染がさらに世界中に広がっています。3月11日に世界保健機関(WHO)が世界的大流行を意味する「パンデミック」を表明し、事態はさらに深刻になってきています。このままアンヌス・ホリビリスとなっていくのでしょうか。

そうした中で、屋内で人ごみの中に行かぬようにという自粛要請もあって、気晴らしに春日井市内の植物園に行くことにしました。久しぶりに訪れた植物園では、河津桜が満開でした。また、そこにはニュートンのリンゴの木があります。ニュートンの生家の庭に、現在もあるリンゴの木の枝を接木した苗木が、1964年に日本にもたらされ、東京の小石川植物園から、2013年に春日井市に分譲されたそうです。

アイザック・ニュートンは、ロンドンの北にある小さな村で生まれ、ケンブリッジ大学で学びました。22歳になった1665年に黒死病と言われるペストが流行して、大学が一時閉鎖となりました。ニュートンは自宅に戻り、庭のリンゴの木からリンゴが落ちるのを眺めて、万有引力の着想を得たというのが伝説です。初代の木は19世紀に枯れて、接木をして現在まで存続しているそうです。

今と違って、医学も進んでいない17世紀のこと、4日間にわたるロンドンの大火によって、ようやくペストも収まったそうです。ニュートンは結局1年半自宅で過ごしたそうですが、彼の偉大な多くの発見は、すべてこの間に芽生えており、ニュートンは振り返って、この一年のことをアンヌス・ミラビリスと呼んだそうです。

新型コロナウイルスの感染が終息し、平穏な日常が戻ることを祈るばかりです。

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ニュートンのリンゴの木、グリーンピア春日井(2020年3月撮影)

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ニュートンのリンゴの木、グリーンピア春日井(2018年11月撮影)