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【文芸日誌】vol,7-2 ~第2回30分小説~

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こんばんは、ひろひろです

5月11日の部活で行われた、30分小説の
人気投票の結果を発表します
 
 
なんだそれ、と思った方は
察してください

 
今回は同率が並ぶ接戦でした
 
同率1位(2作品) 
 
・ミルフィーユ 作者:葉樫 茶荼  4年生
 
・ユッケ社長  作者:真水 登   2年生

同率3位(3作品)
 
・メモ帳    作者:曾我部 海豚 4年生
 
・りぼん    作者:月舘 あとら 2年生
  
・小倉トースト 作者:深山 秋   1年生
 
 
という結果になりました
4年生が力を見せてくれました
2年生もいて、来年も期待できます
初の1年生の登場もうれしいかぎりです
自分が参加できなくてほんとに悔しかった
 
それでは第1位のうち、『ミルフィーユ』を載せたいと思います
どうぞ!
 
 

ミルフィーユ     葉樫茶荼
 
 
『思い返してみれば、2人で居た時間は短かったような気がします。
私が小学生の頃、あなたは、よくイタズラをして先生に怒られるようなやんちゃな男の子でした。とても明るくて、クラスの人気者でした。引っ込み思案な私の手を取って、みんなの輪の中に引き入れてくれたことを、今でも思い出します。私に友達ができたのは、あなたのおかげでした。あなたの手は、あなたの心と同じくらい温かかったのを覚えています。
私が中学生の頃、あなたはグラウンドを駆け回るサッカー部のエースとして活躍していました。下級生の女の子からの人気も高くて、いつも女の子に囲まれていましたね。私はそんなあなたを遠くから見つめることしかできませんでした。だけど、同じ委員会になった時、あなたが話しかけてくれた時、本当に幸せな気持ちでした。
 私が高校生の頃、あなたはやはりサッカー部のエースでしたね。知らなかったでしょうが、あなたと同じ高校に入ったと知った時、私はとっても嬉しかったのです。だから私は、勇気を出してあなたに話しかけていました。勇気を出して、あなたと一緒にいました。ここまで言ったら気づくでしょうか。私はあなたの事が好きでした。だから、あなたの近くに居られた3年間は、とても幸せだったのです。
あなたが大学生になったころ、私は入院をしました。あなたは学校生活が忙しかっただろうに、とてもよくお見舞いに来てくれましたね。あなたの顔を見る度に私は、生きる気力が湧いていたのです。
 あなたは今、何をしているのでしょうか。
 あなたは今、何歳なのでしょうか。
 あなたは今、元気でしょうか。
あなたに伝えたい言葉が、まだ沢山あります。あなたと積み重ねたい時が、まだ沢山あります。だけど、もう、叶いそうにありません。
せめて、あなたが幸せであることを、天国から祈っています。
                                青葉 千和』
 
たった5枚の手紙だった。千和が死んだ後に届いた手紙。もう3年くらい前になるだろうか。
たった19年の生涯だったあの子。思い返してみれば短い時間だけど、それでも千和の人生のほとんどは、オレと過ごした時間である。それはあまりにも長い、大切な時間だった。
 窓から外を眺めた。青々とした若葉を携えた1本の木が、ザワザワと風に揺れている。
就職が決まって引越しの準備をしていたら、この手紙が出てきたのだ。一緒に、たくさんの写真も出てきた。2人で撮った写真が、こんなにも残っていただなんて、思わなかった。
 千和の笑顔。沢山の。
 千和の笑顔を撮った写真が、何枚も何枚も積み重なっていた。
 その写真の前で、オレは泣いた。
 
 オレもお前と沢山の時を積み重ねたかった。
 
 若葉はザワザワと鳴いていた。
 

コメント ( 4 )

李 昆路2011年05月22日

たった30分でこんなに書けるなんてさすがです!
ところでミルフィーユって何ですか?

真水登2011年05月22日

 1位の「ミルフィーユ」は感動しました。
 同率で私の「ユッケ社長」が入るとは思いもよりませんでした。お題がお題なだけに、闇に葬り去られ表に出ることはないでしょう。
 一位でも複雑な心境です。
 自粛を振り切り掲載しては? 冗談です。

捌限 椰子2011年05月24日

ミルフィーユとは、いうなればパイだよ
多層菓子と揶揄されてるけどねぇー

積み重なった写真と思い出をパイ生地に例えてんだろ言わせんな恥ずかしい

あーあ、ユッケ食べたかったなぁ…

毛糸2011年05月24日

>李 昆路さん
パイ生地を何枚も重ねて焼いた、フランスのお菓子ですよ。

今回の短編小説はミルフィーユの生地を「重ねる」動作と、思い出を「積み重ねる」動作をかけて話をまとめてますね。
テーマをそのまま書くのではなく、類似する項目を抜き出して作品を仕上げるという技法が巧く活用されている作品でした。

こういう発想は見習いたいものです

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