学長ブログ

76. 見えるもの、見えないもの 

新型コロナウイルスは0.1ミクロンほどの大きさで、目には見えませんが、電子顕微鏡では見ることができます。月は40万キロも離れたところにありますが、直径が3,500kmもあるため、地球上の人々が、どこからでも目で見ることができるものです。

地球から太陽までの距離は、月までの距離の約400倍あり、太陽の直径は月の約400倍あるため、ずいぶん遠くにある太陽でも、月とほぼ同じ大きさに見えます。先週の8日は今年最も大きいというスーパームーンと呼ばれる満月でした。月の公転軌道が楕円であるため、月と地球の最接近時が満月と重なる時に、スーパームーンになるのです。

17世紀のこと、英国でニュートンはペストという感染症の広がりのため、自宅にこもって万有引力に考え付き(ブログNo.64)、月の公転軌道を説明したわけですが、ほぼ同年代の俳人松尾芭蕉が、同じ満月を見ていたかもしれないと考えるのも、感慨深いことです。

ニュートンのいた英国で、今回新型コロナウイルスに感染したジョンソン首相を思うとき、時代を超えてもなお、感染症との戦いが続いていることを感じます。密集を避けて、密接を避けて、人との接触を断つことが勧められる今だからこそ、人との見えないつながりが、いかに大事かが感じられるときのような気がします。

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中部大学キャンパス 春日井の丘から、名古屋方面(写真右上)を見る。16日撮影。