学長ブログ

6. ナイトウォーク ―真夜中の42キロ

春日井の丘に登れば独特の風が吹いています。独特の空気、雰囲気があります。大学全体にみなぎる気風があります。今日はその風が生まれる背景を見たような一日でした。

さわやかな晴天の土曜日、朝一番で、三浦幸平メモリアルホールに集まった約300人の工学部・経営情報学部・国際関係学部3年生の保護者に、最近のキャンパスの様子をお話ししました。「父母との集い」は開学3年目にして生まれた後援会が主催するもので、50年近く続いています。保護者と教員・職員が一体となって学生を育てていこうという試み。午後には、同じ場所で4年生の保護者に集まっていただいて話をする機会を持ちました。

その後、私は不言実行館ACTIVE PLAZAに移動して、新入生に対して、中部大学の歴史について、教育について話をし、懇談をしました。

それが終わったところで、ニュースが飛びこんできました。豊田市の野球場で行われていた硬式野球部の愛知大学野球春季リーグ戦の試合結果です。9回逆転3ランで名城大学に勝利。その結果、9年ぶりに全日本大学野球選手権大会出場決定という快挙。

そして、太陽が傾くころ、野外ステージ前の芝生には学生が集まりだしていました。今年で23回目のナイトウォーク、真夜中の挑戦です。80人の挑戦者。春日井キャンパスから42キロ先の恵那キャンパスまで、学生クラブ運営委員会が周到な準備の下で企画し、見守り送り出すのです。学生支援課の職員を含め58人がサポートにまわります。私は「千里の道も一歩から」を引き合いに出して、蛍光色のゼッケンをつけた80人とそれを取り巻く大勢の人たちに向かって話し出しました。1里は人間が1時間で歩く距離を基準に決められており約4キロであること、恵那キャンパスまでの10里の道のりを、江戸時代に使われた庶民の街道「下街道(したかいどう)」に沿うようにして山道も含めて、「五里霧中」という言葉も引き合いに出して、約12時間かけて無事に歩き通し、恵那キャンパスでの朝食にみんなが元気で集まれるようにと激励。私の話のあと、工学部3年生の運営委員長のあいさつ、チアリーダー部による応援演技、シンフォニックバンドの元気の出る演奏。そしてクラブ運営委員会からの諸注意確認の後、午後7時、80人それぞれが同窓会から支給された懐中電灯を片手に、出発ゲートをくぐり、チアリーダーや大勢の仲間が見守る中を出発。

出発式が終わり、夕暮れのキャンパスを、出発式を見に来た妻と共に歩いていました。今日一連の出来事を振り返り、一つ一つが、中部大学ファミリーの中で起こっていることで、その一つ一つの積み重ねが、春日井の丘の空気を、風を、雰囲気を作り出していることを思って、うれしくなったのです。ちょっと涼しくなってきて、学生たちが内々(うつつ)神社を通るころは寒いんじゃないかな、と心配しながら、暗い夜道を歩くみんなの無事を祈っていました。

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