学長ブログ

8. 墓参 ―無量寿寺

朝から小雨模様の中を、知多半島の半田市にある浄土真宗大谷派の無量寿寺(むりょうじゅじ)に到着しました。まだキャンパスからの参列者を乗せたバスが到着する前だったので、砂利とクロマツが美しい、落ち着いた広い境内をゆっくりと歩く。お寺の名前にある無量寿が、量りきれない寿命を意味するものであることを思い、創立者三浦幸平先生のお墓にお参りし、中部大学第5代学長に就任したことを報告しました。墓石には先生の筆になる「歸真」の二文字が刻まれていました。帰の旧字が使われており、「真に帰す、真に帰る」の意味を考える。真とは真理や真実のことであり、仏教では浄土に帰ることを意味するようですが、帰るべき真とは自然で飾り気のない状態なのでしょう。したがって、真に帰るとは本来の自然のままの自分に戻ることなのでしょうか。そんなことを考えているうちに墓参の人数が増えてきました。

別室に入り、古くからの中部大学関係者と共にお茶をいただきました。

大学よりバスが到着して、大勢の参列者のお墓参りがすんだ後、本堂で法要が始まりました。住職の読経とともに、飯吉厚夫理事長・総長と私の焼香に続いて新旧教職員の焼香が続きました。学校法人中部大学は学園として4つの学校からなり、中部大学のほかに中部大学第一高等学校、中部大学春日丘中学校・高等学校があり、新旧学校長の姿も見えました。焼香が終わり、読経が終わると、飯吉厚夫理事長・総長のあいさつ。この1年間で亡くなられた学園関係者11人の名前が紹介されて、厳かな法要が終わりとなりました。

参列者は庫裏に移動し、お菓子とお茶をいただくことになります。広い庫裏には座卓と座布団が所狭しと並べられています。そこで、大学関係者を代表して私から、参列者の皆様に、42年目の学園創立者記念日の墓参のお礼を述べて、中部大学の近況報告を行いました。大学は7万6千人を超す卒業生を出し、今や7学部6研究科を擁し、在籍者数1万1千人を超す大規模大学となったこと。先日在学生の保護者と教職員が集まる「父母との集い」を、創立者生誕100年を記念して25年前に作られた三浦幸平メモリアルホールで行ったこと。その「父母との集い」は三浦幸平先生の時に始められて、今に続いており、他の行事とともに中部大学の伝統として受け継がれていることを報告しました。

そして、我々中部大学に籍を置く学生・教員・職員すべてが、創立者の残された言葉「不言実行」の言葉を胸に毎日が学びの中にあること。「無学」という言葉は一般的には学問の知識のないことをいうわけですが、これ以上学ぶことがないという意味でも使われ、これ以上学ぶことがない悟りの境地という意味で、学生ともども無学の境地に向かって、怠ることなく進んでいることを話して、参列者の皆様に対して、墓参のお礼を述べてあいさつを終えました。

無量寿寺(愛知県半田市)
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創立者三浦幸平先生の墓石には「歸真」の文字
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