学長ブログ

23. 新年を迎えて

新たな2018年の幕開けです。
年末は、東京体育館で行われた第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会で、中部大学第一高等学校の父母とともにステイックバルーンを持って応援し、その後大阪の花園ラグビー場で行われた第97回全国高校ラグビーフットボール大会では、中部大学春日丘高等学校の生徒と一緒になってメガホンを握り、「鬼の鬼の鬼のスクラム」と叫び、応援しました。うれしいことに両校とも勝利を収めたのです。

さて、新年にあたって考えたことです。
UNIVERSITY、これは大学と訳されていますが、この言葉から大学のあり方を考えてみます。UNIは一つを表して、VERSは回るという意味。回転する物が一つになる。台風に伴う空気の流れや渦潮に伴う水の流れのように、社会の変化に応じて、変わり続けるいろいろな学問が一緒になって一つの渦を作って行く。そして渦になって変化を続ける学問を学ぶことができる、そんな場が大学だと思うのです。つまりUNIVERSITYは総合大学であり、総合知を身に着けることができる学びの拠点です。中部大学で学ぶ者すべてが総合的な学問という渦の中に入っていけるようにしたいと考えています。
EDUCATION、これは教育と訳されていますが、この言葉から教育のあり方を考えてみます。Eは「外に」という意味を表す接頭語で、DUCは「導く」という意味を含んでいます。自分の中に潜んでいる才能を外に引き出していくということがEDUCATIONです。従って、教育というのは学問を教授伝達することではなく、学問を一人一人の異なる才能が、どのように受け止めるのか、学問を学ぶことを通して、個々の才能を引っ張り出す、その過程が教育だと思うのです。自分の才能を引き出すために、学生は先生の言葉をメモし、考え、質問したり、意見を述べたりしなければなりません。先生の方でも、学問は変化していくものだから、学び続け、それを自分なりに解釈して、学生に話すという行為により、先生自身の才能を引き出していくことになります。つまり、教育とは、教える方も教わる方も共に学びの途上にあり、その中で個々の持つ独特の才能を見いだしていく過程なのではないでしょうか。

中部大学では学びを通して、進化する学問を受け入れ、自分の才能を開花させ、人間として生きる力を大きく作り上げていく、そんな場を作り上げたいと考えています。自分が選んだ専門を中心に、いろいろな学問を俯瞰して学んでいくのです。4月から、新たな総合学習の場である「人間力創成センター(仮称)」を立ち上げます。そこでは専門を横断するような、グローバルな教養を学び、個々人の中に個性豊かな人間力を作り上げていく、そんな学びの拠点になる場を立ち上げたいと考えています。

1月1日の新聞から。
朝日新聞では国際欄の幸福の議論「様々な幸福度のはかり方」が目にとまりました。世界の他の国々と比較すると、日本人は必ずしも幸福とは感じていないようです。自分の才能を見出し、自分のやりたいことを見つけて進むとき、幸福度は上がるのかもしれません。
中日新聞では社説「明治150年と民主主義」で、明治に始まった日本民主主義が振り返られます。そして今資本主義がもたらした広がる格差が取り上げられていました。それを読んで、私は現在拡大する教育の格差が気になりました。
日本経済新聞では1面の「パンゲアの扉 つながる世界」で、ネットで縮まった隔たりを取り上げ、つながる世界と、それにともなうグローバル化の問題を論じていました。パンゲアとはすべての陸地を表す言葉で、かつて一つにつながっていたと考えられる超大陸のことだそうです。確実に、世界はつながってきています。正月には南米で正月を迎えた娘と、そして北欧で正月を迎えた娘ともネットでつながりました。

1月3日の読売新聞では、「2018年大学トップメッセージ~未来を拓く若者たちへ~」として、他大学の学長と共にメッセージを発信しました。「不言実行、あてになる人間 春日井の丘から世界をのぞむ」と題して、「学びと探求の拠点として、世界に広がる地域社会との連携を大切にしていきたいと考えています。」と結びました。

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自宅で飾った鏡餅。学生寮の餅つき大会でついた、つきたての餅を学生さんが届けてくれました。