学長ブログ

38. フランス訪問① すべての道はローマに通ず

大学間連携推進のために、フランスを訪れました。今回は大学のあるペルピニャンの近くにあるコリウール村について紹介します。

スペインの国境に近い、南フランスの地中海に面した、小さな村コリウール。古い街並みで、道ばたで絵画が売られていたり、狭い路地に画廊があったりして、いかにも芸術家が集まりそうな雰囲気。マティスやピカソもここで絵を描いたそうです。伝統的な建物、港、城塞、教会、尖塔、独特の屋根や通りの街角。スペイン風の建物が多いのは、歴史的に17世紀後半までスペイン領で、ルイ14世が占領してフランスに帰属するようになったからでしょう。

海岸沿いにシャトー・ロワイヤル(chateau royal)を囲む城壁と、ノートルダム・デザンジュ教会(Notre-Dame-des-Anges)があり、海に飛び出した灯台(現在は教会の鐘楼)は、絵はがきや絵画の対象として取り上げられています。日曜日の午後、のんびりと海を見ながらカフェでのひと時を楽しむ人々の姿。街角にあった標識は、ペルピニャンの方角と、近くにあるフランス国有鉄道(SNCF)の駅の方角を示していました。

コリウールはフランスにある最も古いローマ街道の一つ、ドミティア街道の終着点に近いところです。今から2100年前にローマ人はこんな所まで勢力を伸ばしていたことに、改めて思いを馳せます。ローマまでの距離は1,200km、ドミティア街道はローマまでつながっていたのです。確かに、「すべての道はローマに通ず」と言うように、ドミティア街道はペルピニャン、ニーム、ブリアンソンまでつながり、そこからは別の街道がローマまでつながっていました。

紀元前1世紀までに、ローマ帝国は地中海全域を支配した歴史を持っています。「ローマは一日にしてならず」と言われるように、ローマ帝国は、紀元前3世紀から紀元後2世紀にかけて、ローマ街道網を張り巡らし、幹線だけでも80,000km、支線は150,000kmに及ぶものを作り上げたわけです。日本の一般国道の総延長は、66,000kmと言うから、ローマ街道は相当な街道ネットワークです。

翌日、14世紀創立のペルピニャン大学(UPVD, Université de Perpignan Via Domitia)を訪れました。大学の正式名称にドミティア街道(Via Domitia)が含まれていることに、改めて歴史の重みを感じたところです。

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フランスの国境に接する国々。コリウールはスペイン国境近く、地中海沿いに位置する。

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地中海沿いにコリウールの街が広がる。13世紀建造のシャトー・ロワイヤルの城壁が直接海に接している。

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崖っぷちに建てられた古い小さな教会と、大きな十字架が目を引いた。

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コリウール港の灯台とノートルダム・デザンジュ教会の中。
海に張り出した灯台は、中世の時代に造られ、港に戻ってくる舟乗りの目印となった。17世紀に建てられたノートルダム・デザンジュ教会とつながり、 現在は教会の鐘楼となる。

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コリウールの街角の標識。ペルピニャンと、SNCF(フランス国有鉄道)の駅の方角を指している。