学長ブログ

44. 卒業式 「慮る」

2月23日土曜日 中部大学第一高等学校卒業式。395名卒業。
3月1日 金曜日 中部大学春日丘高等学校卒業式。502名卒業。
3月19日火曜日 中部大学春日丘中学校卒業式。96名卒業。
そして
3月23日土曜日。中部大学卒業式。2,346名の学部生と121名の大学院生を送り出しました。こうして、学校法人中部大学80年の歴史的な節目を迎えた学園の卒業生は、138,715人を数えるまでになりました。

すべての卒業式に出席して思うことは、人間の成長の姿。中学校卒業、高等学校卒業、大学卒業、そして大学院修了。卒業・修了する生徒、学生を見ていて、若々しさから、たくましさへ、そして社会人となる責任感のある姿へと、目つき顔つきが変わっていくことを感じました。

学園として、建学の精神『不言実行、あてになる人間』が共有されています。創立以来、80年間を通して、建学の精神が生き続けているのです。大学の卒業式では、「慮る(おもんばかる、おもんぱかる)」という言葉をつかって、『あてになる人間』を表現しました。一つの行動をとるときに、周囲の状況や人に与える影響などについて想像し、深く考える。思慮深くあり、他人のことを配慮し、慮って、人の気持ちを考えて行動するとき、初めて、あてになる人間となることでしょう。

最近、世の中が変わってきて、だんだん相手のことを気遣う、そういう人間の本性のようなものが薄らいでいるように、思えることが多くなった気がします。また「慮る」という言葉自身、あまり使われなくなっているように思えるのです。

そんなことを思っているときに、メジャーリーグ・マリナーズのイチロー選手の引退会見がありました。春日井市に隣接する豊山町出身のイチロー選手が、「おもんばかる」という言葉を使っていたのです。「メジャーリーグに来て、アメリカでは僕は外国人です。外国人になったことで人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんです」―みんなに愛されるヒーローである理由がこの言葉からも感じられました。