学長ブログ

96. ペルセウス座流星群

毎年8月になると、流星群が話題になります。できるだけ暗い所を探して、夜空を仰いでみることにしました。庄内川の土手に寝転がって夜が更けるのを待ちました。結局市街地の明るさ故、並んだ木星と土星、さらに火星、それに夏の大3角形が見える程度で、流れ星を見ることができませんでした。次の日は北に向かって、より明かりの少ないところを求めて、車を走らせました。今度は天の川にある白鳥座とカシオペアまでは見えましたが、やはり街の明かりが邪魔して、天の川に沿って続くペルセウスは確認できず、流星群を見ることはできませんでした。数年前に訪れた日本一星がきれいなところとして知られる長野県の阿智村では、流星がはっきりと観測されたそうです。

太陽のまわりを130年の周期で回るスイフトータットル彗星は、その軌道に沿ってダスト(塵)を残しています。そのダストが密集する宇宙空間を地球が通る時、ダストは地球に向かって落下する時に発光し、流星群として見ることができるのです。その方向に星座ペルセウスが有ることから流星群はその星座の名前を冠しています。流星群はペルセウス座の放射点を中心に、放射状に広がるのを見ることができます。プラズマ物理の研究では、プラズマ中にダスト(微粒子)を注入して、ダストとプラズマの相互作用を調べたりしますが、宇宙のダスト(宇宙塵)は地球に突入する時に、プラズマ状態にある電離層を通り、大気中の原子・分子と衝突して光が出ることによってその存在を見ることができます。

ギリシャ神話では大神ゼウスが、人間の美しい娘ダナエに、黄金の雨となって近づき、その後英雄として活躍することになるペルセウスの誕生に繋がったと伝えられています。流星群は黄金の雨を思い出させるというのです。

今回は流星群に巡り合わなかったのですが、夜空を眺めていると、星座にまつわるギリシャ神話を思い、宇宙に吸い込まれていく楽しさを感じます。まだ猛暑が続いていますが、夜空では夏の星座から、ペガサスに代表される秋の星座が登場してきています。ペルセウスが怪物メドゥーサの首を切り落としたときに、その血の中から、生まれてきたのが空飛ぶ天馬ペガサスだと言われています。物語は秋の星座へと繋がっていきます。
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全天星座表に惑星と月の位置を加えて、観測時間における空(青の楕円)を確認して、ペルセウス流星群の観測を期待しました。