学長ブログ

103. アメリカの入試事情(1) 

新型コロナウイルスの感染がアメリカでも拡大する中、中部大学の協定校であるオハイオ大学に長期研修で滞在中の33名の学生と1名の引率教員に、帰国を促すメールを送ったのが2020年3月16日のことです。アメリカでは3千人を超える新型コロナウイルス感染者が出て、死亡する人も毎日増加している頃でした。

3月23日、簡素化した学位記授与式を終えて中部国際空港に向かい、到着ロビーで帰国した34名全員を出迎え、みんなの無事な姿を見たときには出迎えた家族の方と共に安堵したものです。その3月23日にはオハイオ州で外出禁止令が出されましたので帰国は間一髪のタイミングでした。

あれから9ヶ月、アメリカの状況はさらに深刻になり、毎日約20万人が感染し、3千人が死亡しています。現在累計感染者数は約1700万人となり、死者も30万人となっています。日本の累計感染者17万人、死者2500人と比べると、その悲惨な状況が分かります。私のテキサスの友人が新型コロナウイルス感染症で亡くなったとの知らせが届き、その怖さが身近に感じられます。

現在アメリカの大学は殆どがオンライン授業を行っています。

また、大学入学のために行われるACT、SATと呼ばれる2種類の共通テストが、通常は1年間にそれぞれ7回程度行われるのですが、今年は感染拡大の影響で多くの会場で延期または中止となっています。ついには多くの大学で、その共通テストのスコアを求めずに願書を受け付けるという事態となっています。アメリカの大学では個別の学力試験は行っていないので、共通テストの点数を使わずに入学選抜をすることになります。

一方、来月行われる日本の大学入学共通テストは53万5千人が受験します。1年に1回だけなので、その実施を巡っては今も広がる感染症の拡大に注視が必要です。大学入試においては公平・平等そして公正が求められます。受験生の努力が無駄にならないよう、感染防止策をとって、無事に大学入学共通テストが行えることを願っています。