学長ブログ

26. 新学年の始まり

3月23日の学位記授与式(卒業式)、3月30日の退職者等辞令交付式、4月2日の新規採用者辞令交付式および入学式、4月4日の教職員総会をはじめとした、年度末、年度始めの行事が一段落です。卒業式、入学式ともに晴天に恵まれ、学部の式は講堂、大学院の式は三浦幸平メモリアルホールで行われました。ここで、式辞と総会で述べたことの一部を記して、新年度の出発としたいと思います。

(1) 学位記授与式(学部) 
講堂を埋め尽くした、中部大学を巣立つ卒業生に向けて。今後の生き方の心構えの指針が中部大学の建学の精神『不言実行、あてになる人間』にあることを強調。まず『不言実行』:百聞不如一見(ひゃくぶんはいっけんにしかず) 百見不如一考(ひゃっけんはいっこうにしかず) 百考不如一行(ひゃっこうはいっこうにしかず)(実行するためには、人の言うことをよく聞き、しっかりと自分の目で見て、自分の頭で考え、そして行動する)。そして、『あてになる人間』:百行不如一果(百行は一果にしかず。百の行いより一つの結果、どんなに行動をしても、成果を残さなければ意味がない)。結果を出すことで、初めて、あてになる人間として認められる。
(2)学位記授与式(大学院)
メモリアルホールで行われた大学院学位記授与式。オックスフォード大学研究グループの発表論文の紹介を通して、メッセージを発信。コンピューターの技術革新がすさまじい勢いで進む中で、これまで人間にしかできないと思われていた仕事が、ロボットなどの機械に代わられようとしており、今後10年から20年程度で、人間が行う仕事の約半分が自動化される。過去に蓄積されたデータの中から、事例を見つければよいだけの仕事は、コンピューターでもできる仕事になる。存続することになるのは、人間の感性を活かし、Creativity とSocial Skillを必要とする職業。自分の持つ考え方を大事に、そして仲間との関係を大切に。
(3)入学式(学部)
今年は学園が80周年を迎える記念すべき年であり、まず学園の80年の歴史をふりかえる。そして、「セレンディピティ」という言葉を紹介。偶然に何かを発見する能力、と理解されているが、実際には問題意識を持っている人だけが、何かを発見できる、それが偶然のように見えるだけ。未知の世界に飛び込んでいくこと、仲間を増やすこと。7つの学部が春日井のキャンパスにある総合大学だからこそ、できることがある。
(4) 入学式(大学院)
20世紀の後半はデジタル化の波が来て、デジタイゼーション(digitization)が進行。20世紀終わりごろに始まったインターネットが、あっという間に広がり、世界の人口74億人のうち36億人がインターネットにつながっている。21世紀にはいって、情報流通と機械による処理のデジタル化はデジタライゼーション(digitalization)と呼ばれ、AIやIoTと言われるように、急速な展開を見せている。これからは専門知識を覚えるだけではなく、専門知識をいかに正しく使うかを学ぶことが必要。
(5) 教職員総会
『中部大学-学びの拠点を目指して』と題して、学園の80年、そしてこの一年を振り返り、これからの大学の在り方について、メモリアルホールいっぱいの教職員に対して語りかけた。
「教育」と言う文字には、上から目線で、教養のある者が無知なる者にたいして、知識と思想を教え、望ましいと思われる姿に育てていくと言う響きがある。最高学府である大学は、単なる知識やスキルを教えるのではなく、個々の才能を引き出す人間力創成の場でなければならない。大学は教員が学生を教える教育の場と言うより、学生・職員・教員がともに学び、それぞれの才能を引き出す学びの空間と位置づけるべきである。
プロクラステスのベッドを学びの場に持ち込んではならない。(プロクラステスはギリシャ神話にでてくる山賊で、旅人を捕まえては彼のベッドに括り付け、ベッドに合わせて、旅人が小さければ脚を引っ張って伸ばし、あるいは大きすぎると足をちょん切ったという話。)
大学と言う学びの場では規格にあわない者を排除してはならない。中部大学を学びの拠点とするため、今年度からスタートする、人間力創成総合教育センターを中心に、これから学びの構造を変えていく。学生・職員・教員がすべて学びのなかにあり、個を大事にして、一人一人の才能を見出し開花させる自由な学びの空間を作り上げていくことを力説した。

20180406-01.jpg

20180406-02.jpg
学部2,385人、大学院124人が卒業(3月23日)

20180406-04.jpg

20180406-05.jpg
学部2,673人、大学院125人の入学生を迎えた(4月2日)